民放が赤字なのは自業自得ではないか?/NHK教育 ETV特集「鶴見俊輔〜戦後日本 人民の記憶〜」

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-04-12&ch=31&eid=8380&p=1
http://book.asahi.com/review/TKY200812090087.html

春の改編期か何かしらないが、新聞のTV欄を開くと、2時間も3時間も枠をとって、深い話だの高学歴者のクイズ大会だの大食い大会だのが行われている。そんな下らない番組ばかり作っているから、「TVくっつきがなおる」(=TV離れが加速する)(by糸井重里)になるんじゃないですかね?

90分の番組でしたが、非常に密度が濃い貴重な放送でした。ワンセグで見たので、細かな字幕は分からなかったけど(笑)。
不勉強のために知らなかったことを、共有しましょう。

鶴見俊輔は、ハーバードに留学して図書館で働いていた(バイトか?)とき、ヘレン・ケラーに会ったそうです。
"unlean"(学びほぐす)という言葉を使って、学んだことを地肉化する、ということを話してくれたそうです。
学んだことを忘れることは、難しいと。それで、彼も"unlean"の意味を理解できたと語っていました。
手元のLONMANには、"informal to deliberately forget somthing you have leaned"とあります。一応、断っておきますが、聴力も視力も持たないながらもハーバードで学んだ女性と、16歳にしてハーバードに留学した天下の秀才との話です。別にハーバードに入ったからといって凄くないと思った人。今から60年も70年も前は、日本の「大学生」ですら、もの凄い希少性だったのですよ。今の大卒タレントとは、スケールが違う。

鶴見俊輔は、アメリカ側につくのか、日本側につくのか問われて、どちらも拒否したため、牢獄に入ったそうです。
ただ、そこのシェフがイタリア人のシェフで、とても飯が旨かったと。どうせ負ける日本に帰って不味い粗末な飯を食うよりもましだと喜んだそうです。極めて冷静ですね。ただ、それを敗戦まで続けるのは悪いなと思って、帰国したそうです。

学者から、原爆を落とす必要がないという報告を受けておきながら、トルーマンが2発の原爆の決断を下したことについて、鶴見俊輔が造語した"undertake objectivity"(?)を使った説明もなるほどと思いました。under"take"のなかにtakeが入っているから、客観的に間違っていることを理解して、take=自ら進んで手に取った、行ったのだと。

戦後日本を代表する知性の、深い深いお話の断片でした。
ちなみに、16歳で渡米する前に、5回も自殺未遂を起こしたとさらりと語っておられました。
驚愕・・・。おじいちゃんは後藤新平の、超名家の子息ですよ・・・。