大桟橋/空間のマナー

さて、第二の目的地、大桟橋へ。
初めて大桟橋の写真を見たとき、何だこれは?と思った。
ぐにゃぐにゃに曲がった木の板の固まりは、何のための建築物なのか、さっぱり分からなかった。

ターミナルに向かって、長くゆるやかなスロープは上り坂になっている。車は、その勾配に合わせて速度を落とし、坂の途中でUターンしたり、坂のてっぺんで停車したりしている。なるほど。素晴らしい。そして、スロープで目の前が覆われているために、海が見えないことが、早く早くと歩行を期待で促す。横浜駅そごうの圧迫的な階段とは対極。


スロープを昇りきると、停船中の飛鳥2号(?)の客席と、橋の高さ・距離とが間近に接近している。凄い!


右手を向けば、海と白い橋が見える。それを邪魔するかのように立っている白く奇妙な角度に曲がったポールだが、しかるべき地点に歩行者が立つと、白いポールがガイドするように、ポールと海と橋とを結ぶ任意のラインを出現させる。空間の景観を、より魅力的なものにする。建築の果たすべき役割のひとつが、シンプルで美しい形として示されているのではないだろうか。このポールが夜はライトになるならば、さらに驚くべきことだ。どうなんだろう?



波打ち際や埠頭というと、景色のよいポイントに人が集まってくるため、人々の隙間からしか水平線を見る事が出来ないことがよく起こる。しかしここは、でこぼこした丘のような設計が、歩行者をいろいろな場所に分散してくれる。昇っても良いし、下っても良い。佇んでも、鉄の欄干に座っても良い。ガラスの中のホールで何が行われているかも一目瞭然だ。興味があれば、中に入れば良い。この隙間を通して、場合によっては、小さな子供でもガラスごしに海を見る事が出来る。

この橋の設計のコンペは、国内の国際コンペとしては過去最大のものになったそうだが、確かにそれを勝ち抜いた結果の、非常に良い設計だ。http://www.osanbashi.com/outline/designer.html

来場者を迎えるだけでなく、内部の導線まで提供する有機的で機能的な素晴らしい空間。
しかし、残念ながら、それを妨げる人たちがいた。


芝生エリアには、立ち入り禁止・KEEP OUTと、きちんと看板が置かれているのだが、下は赤ん坊から上はシルバーまで、全世代的に立ち入る人たちがいた。下の2002年の航空写真と比べると、芝生の色が明らに弱っているようだが。晴天が続いたため、乾燥しているだけだろうか。芝が傷むから、立ち入らないで欲しいと丁寧に理由まで文章とイラストで掲示されているのだが・・・。http://www.osanbashi.com/outline/history.html


特に、小学生くらいの子供を連れた若い夫婦が目立つ。日本語が読めないようなので、子供と一緒に、小学校へ入り直す必要があるようだ。休日に、「反面教師」について身を以て教育するボランティアの皆さん。ビニールシート持参者多数。ご利用は計画的に。

恋は盲目というが、マナーの悪いカップルは、頭の中身を見るまでもなく、外見からして残念なケースが多い。「二段腹にくい込んだボーダーがステキだよ。」「まぁ!にくにくしい!脂汗垂らすわよ!」「ワオ!ジューシー!」 コント「バカップル」を上演中の模様。

建築や都市空間について、教育を与える機会が不足しているのではないか。例えば高校で1年くらい教えた方がいいと思う。大学ならば、教養課程の必須単位にすればいい。こういう大人が減らないことと、横浜駅みたいな空間がのさばっていることとは無関係ではないと思う。

僕の方が遥かにましだにゃ〜。