NHK BSは加入した方がいい。

各所で話題の『2011年新聞・テレビ消滅』を読んだ。
http://www.google.co.jp/search?q=2011%E5%B9%B4%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E6%B6%88%E6%BB%85&lr=lang_ja&ie=utf-8&oe=utf-8&aq=t&rls=org.mozilla:ja-JP-mac:official&client=firefox-a

賛否両論あるにせよ、マスコミや広告の仕事をしている人は、読んで業界の将来のことを考えるきっかけにするといいと思います。

NHK BSはすでに「ミドルメディア」に近くなっているのではないかとも思った。視聴率は良くないだろうが、コンテンツ力は非常に高いので、ファンの支持は熱いという。

下の欄のBSのソウルミュージックのドキュメンタリーを連夜見て、改めて音と歌詞との強靭さと社会的影響力の大きさを認識させてくれたことに大いに感謝した。特に、1回のレイ・チャールズと2回のサム・クックは、あまり聞いてこなかったことをとても後悔した。ゴスペルは偉大だ。

先程は、『MASTER TAPE − 荒井由実ひこうき雲”の秘密を探る −』を見た。BBCなどが得意とするスタジオプレイバックものだ。
http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/p/20100116/001/12-2100.html
エンドクレジットで辛うじて集合写真で鈴木茂を出した以外は、彼を出演させなかったため、欠落感が否めないものの、ティン・パン・アレーの残りの3人とユーミンが当時のプロデューサー、エンジニアとマスターを聞き直す1時間は、それだけでとても面白かった。細野さんのベースを皆が褒めちぎっていたが、確かに素晴らしい音とアレンジだ。松任谷正隆の鍵盤アレンジもいい。ユーミンのボーカルも複数トラックが重ねてあったとは気がつかなかった。
ユーミンが一番好きな曲だという「雨の街を」のエピソードも良かったですね。
レコーディング半年後くらいから、二人は「職場恋愛」として付き合い出した。凄腕ミュージシャンのティン・パン・アレーの録音は、2、3テイクであっさり終わったものの、19歳で初レコーディングのユーミンの歌入れは、何と1年にも及んだ。煮詰まるなか、井の頭公園を散歩していて、好きな花の話になり、ダリアが好きだと答えた翌日、スタジオのピアノの上に牛乳瓶が置いてあり、ダリアの花が差してあった。そこだけ、スポットライトが当たっているような気がしたそうだ。そして、ダメ出しの連続で歌うのもうんざりしていた「雨の街を」を歌いきり、OKを出すことが出来たそうな。牛乳瓶というのが若くていいな。

洋楽であれば、ポップソングであれ、歌詞に意味も意義もあり、クロースリーディングや時勢などとの関連も分析出来るのだが、邦楽でそれが可能なものは少ない。初期〜中期のユーミン以外だと、誰かいるかな。う〜ん、90年代とフィッシュマンズなら可能だけどなぁ。停滞する時について、ではダサイので、バックビートにのっかって、と曲名を副題にすればいいでしょう。あとは陣野先生が本で書いていたみたいに、80年代とじゃがたらか。

fishmans "バックビートにのっかって"

本人達が語るように、フィッシュマンズの場合は、歌詞と曲と演奏と歌とが一緒くたになって作用する作り方をしているが、歌詞だけとってみても素晴らしい。
眠ること、静かに暮らすこと、進まない時、そして仮死という主題がここでも展開されている。何より、「他人の夢でも見てみたい/重いまぶたにのっかって」、「不安が夜の宙を舞って/きっと誰かをだめにしてる」、「Good night tomorrow」、こうした言葉を書くことが出来るバンドは、希有だ。「世田谷の空はとても狭くて/弾け出すにはなにか足りない」などは、サ行の圧迫感自体が、「弾け出すにはなにか足りない」という言葉に繋がっていて、佐藤伸治の書いた歌詞のなかでもベストのひとつではないかと思う。


終わらない夜に Ready Go
バックビートにのっかって
他人の夢でも見てみたい
重いまぶたにのっかって

不安が夜の宙を舞って
きっと誰かをだめにしてる
あの娘は今も愛を放って
子犬みたいに眠ってる

Everyday is watching you
Everyday is watching you きみを誰かがよんでるぜ
Everyday is watching you
Everyday is watching you

Good night tomorrow Good night tomorrow
a ha-n

世田谷の空はとても狭くて
弾け出すにはなにか足りない
あの娘は今も愛を放って
バックビートにゆられてく

Everyday is watching you
Everyday is watching you きみが誰かをささえてるぜ
Everyday is watching you
Everyday is watching you

ふたりは今も秋晴れで
だらしないほど続いてく
明日の夢など何もなくて
バックビートにのっかって

バックビートにのっかって
バックビートにのっかって


脱線したが、音楽番組もとても良いのだが、映画もいい。
ずっと見たいと思っていたこれが、来月遂に放送される!!!

2月18日(木) 午後1:00〜午後2:51
DIRECTED BY JOHN FORD ピーター・ボグダノヴィッチ
http://www.nhk.or.jp/bs/genre/movie_7later.html#201002181300

急いでBSに加入した方がいいですよ。

願わくば、ロメール追悼のプログラムを組んで欲しいな。去年、確かシネマヴェーラだったかテアトル東京だったかで一斉上映があったものの、殆ど通えなかった。デニス・ホッパーも末期がんのようだし。『アメリカの友人』を偏愛する身としては、彼が亡くなるということなど、全く念頭になかったのだが。あぁ。