そりゃ、驚く。/ジョン・レノン・ミュージアム

先日、閉館がアナウンスされたジョン・レノンミュージアムに行って来た。
http://www.taisei.co.jp/museum/
http://www.taisei.co.jp/museum/guide/index.html

開館以来10年間で57万人が訪れたそうだから、成功したといえるのではないだろうか。ビートルズやジョンについては、ロック好きなら伝記もインタビューもヒストリー記事も一通り読む機会があるものであり、最近のリマスター関連で新たに雑誌で目にしたばかりなので、食傷気味だし、埼玉は遠いし、梅雨だし、と言い訳ばかりでなかなか行かなかった。晴れたので、今回ようやく行ってみた。
まず、最初の部屋の7分のヒストリー映像にやられる。"(Just Like)Starting Over"の冒頭の歌詞が映されるのを見て、改めてジョンの歌と人生のあまりの近さに感動する。We have grown・・・。

Our life together is so precious together
We have grown, we have grown
Although our love is still special
Let's take a chance and fly away somewhere alone


続いて、展示エリアごとにジョンの人生を順次辿ってゆく構成になる。ジョンの物持ちの良さは有名なのだが、幼少期の頃の例のイラストノートの実物から、晩年の軽井沢休暇で来ていた服一式、"NEW YORK CITY" Tシャツまで、よくぞというくらいに良い保存状態で残され、展示されていた。とりわけ、ジョンがキャリアを通して弾いてきた代表的なギターがほぼ揃っているのには驚いた。ビートルズ時代のリッケンバッカー(セットリストも弦も残っている!)、エピフォン・カジノ(交換したノブも!)、レス・ポール・ジュニアとアーミーシャツ(ワン・トゥ・ワン!)、オヴェイション(ダブル・ファンタジー!)。つまりは、ロック史の最も重要なギターがここに集結している。興奮せざるを得ない。特にカジノとレス・ポール・ジュニアには、展示ガラスの前で不審者感丸出しであちこちに動いて、いろんな角度から見入ってしまった。あのカジノと、レス・ポール・ジュニアが目の前にあることが、信じられなかった。ジミ・ヘンドリックスのオリンピック・ホワイトのストラトと並んで、ロック史上最も有名なギターが2本もあるのだから、仕方ない。

新聞記者のように、湧き出たアイデアを次々に出しては先に進むスタイルが好きだと語っていたように、ホテルのメモ用紙や封筒の裏など手元にあった紙に、万年筆やマジックで筆記体、ブロック体と書体もバラバラに書き殴った作詞メモ群にも感動した。茶封筒の表に一気に書いた様子の"In My Life"は、ほぼ完成型だった。20代半ばの若者が人生を悟ったような歌詞を、あっと言う間に書き付けたであろうというのは、本当に天才というしかない。
それにしても、ジョンの筆記体の"I"は、"9"に形が似ていて、そのせいか、歌詞のメモなのに、文字の連なりのなかにイラストマークが紛れ込んでいるようなデザイン性を感じる。変わり種としては、ジョンが手相占いのために押した左手の手相の用紙があった。手相は詳しくないのだが、太い運命線が2本(もっと?)あり、大陽線も半円を描くくらい大きくくっきり出ていて、感情線は一直線(マスカケでなない)というのがパッと見た特徴に思えた。手相占いの人はぜひ来館して分析して欲しいです。

改めて思い知らされたのは、彼の早熟性だ。ロックの偉人は、ブライアン・ウィルソンジミ・ヘンドリックスのように、顔も格好も業績も年齢不詳なところがあるが、ジョンもその最たるもので、ビートルズは20代で終え、『ジョンの魂』は30歳、『イマジン』は31歳(!)、マディソン・スクエア・ガーデンのライブも31歳の終わりだ・・・。あまりのことに、言葉も出ない。

とりあえず、パンフレットやTシャツを買って、ピースマークバッジは、ギターのストラップに付けました。ふう。閉館までもう一回行っておいた方が良さそうだ。