めぐり逢い (DVD)/5

2006年08月21日 03:07

2005
レオ・マッケリー
ケイリー・グラント, ケイリー・グラント, デボラ・カー

『めぐり逢い/An Affair to Remember』(1957)

主題歌に合わせて、ニューヨークに雪が降りそそぐオープニングに、「『映画』が始まるのだ、という高揚感に包まれ涙腺が緩みます。 
 前半、ケーリー・グラントが祖母を訪ねるシーンが特にいい。記憶だけを頼りに亡き祖父の肖像画を書き上げ、祖母に「gift」として手渡すことで、彼の「gift:天分、本性」 は、プレイボーイなどではなく、「忘れてはならないことを決して忘れない」男であることを、私たちは知る。
 静かにその生を終えようとしている祖母の、いささか不安定なピアノ伴奏に寄り添うように、デボラ・カーがいま一度、” An Affair to Remember”を歌うことで、今こそが、「忘れてはならない」瞬間であり、祖母から託された「グラントへの愛」を受け止めた、と告白する。とどまるべき二人が、それを踏み越えてゆこうとするとき、「メロドラマ」が幕を開けるということを、恥ずかしげもなくセンチメンタルに祝福する見事で崇高なシーンに号泣。一緒に観てた友人は、そんなことを考える前に号泣。
とにかく、すっばらしい「メロドラマの古典」です