グラン・トリノ/クリント・イーストウッド/2009

■僕はバカだけど、少しくらいルビはふれる。
http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/

mixiのTOPのジャックに猛烈に腹が立った。そして、心配になった。だから書きます。

横浜に行って、日本大通を見たい。「あとのまつり」のロケ地は、あぁここだったのかと納得したいなという思いが日増しに強くなる。その前に、伸び放題の髪を切ってすっきりしたい。もう休職手当が振り込まれているだろうとATMで確認するが、残高は500円を切ったまま・・・。もうやってられねぇな!と思い、帰って寝ようかと考えたが、「文学界」にイーストウッド対談が掲載されているはずだと気付き、駅前の本屋へ。

文学界 2009年5月号
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/

ありました。気になっていた「STUDIO VOICE」の中原昌也の文章も読む。樋口さんは、何を書こうとしたんだろうか。
http://www.studiovoice.jp/studio-voice/index.html
http://www.boid-s.com/diaries/450.php

気持ちが余計に荒んでしまい、キリンのノン・アルコールビールなるものを買う。帰って飲んだら、まずいし苦い。僕は下戸です。ビールの旨味も分かりません。ウィルキンソンかコーラかサイダーで充分です。気が向いたらサワーや梅酒を舐めればいいし。残ったビールもどきは、ハヤシライスを煮込むのに使った。ルーを入れる前の具材の色が加わり、コーラのような濃い茶色の泡が立ったが、味には大きな変化は起きなかったようだ。1日寝かせたら、肉が柔らかくなっているかも知れない。ともかく、入れたのだから。

夕食後、対談を読む。蓮實重彦青山真治阿部和重の三氏で、かつイーストウッドなので、対談の内容は当然面白い。ただ、個人的に、一番共感した部分はここだ。

阿部 
感動や批判ということでなく、単に事実として指摘しなければならないということですね。・・・つまり「映画の記憶」ということに対してアレルギーを持っている人がいる一方で、必要以上に記憶に拘る人たちもいる。そこに大きな溝が出来ているような気がして。

蓮實
本来はそういうことは大学という場できちんと教えるべきことのはずなんですけどね。別に解釈を加える必要はない。単に事実としてこういうことがあったということは踏まえるべきだとは思う。

青山
イーストウッドが足し算の作家だという意味もその点にあるのではないかという気がします。彼は映画の記憶を継承し、付帯させるという面倒くささを引き受けている。そうすると、どうしても不器用にならざるを得ない。・・・

グラン・トリノ』は、興行収入イーストウッド史上最高で、アメリカでもフランスでも大ヒットしたようだ。
果たして、日本ではどうか。何だか怖い。興行も評価も、並の映画クラスに終わるのではないか。
今のところ、『グラン・トリノ』の宣伝に格別に力を入れているような気配は感じない。僕の接触メディアが限られているからだろうか。一応、掲載予定は沢山あるようなのだが。http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/news.html

大学の頃から、痛切に実感するようになったのだが、世間には趣味の悪い人が多過ぎる。それは別に、おじさん・おばさんに限ったことではなく、全世代的にそうなのだ。個別の批判は避けるが、理由は分かる。
学習しないから、アンテナも知識も感性も理解力も中学生レベルで成長を止めてしまうのだ。日本でヒットするモノは、昔からバカげたモノが多かったが、昨今は本当に酷い。
シニカルにはなりたくない。だから、個々人が出来る範囲で少しでも軌道修正するような貢献をするべきだと、僕は考えている。
今書いている小説も、そういう小説だ。(「小説」の枠からは大幅に外れているけれど。そして、自分でいうのも何だが結構面白い。)このブログも、小説に接続するとはいえ、共時性は保ってゆきたい。
気がつくと、こんなブログでもアクセスが2000を超えている。ビラをまいたことがある人は分かると思うが、2000枚以上のビラを机においたり、壁にはったり、道行く人に配ったりするのは、かなり大変だ。それを思うとわずか2000とはいえ、費用対効果は格段にいい。

評論家は評論すべきだ。宣伝屋は宣伝すべきだ。では、職業人ではない、物好きはどうすればいいのか?

意見を晒す。(言うではない。個人のブログは私見では発言を聴講される場ですらない。むしろ嘲笑の機会を与える場である。)
或は、ルビをふる。つまり、「プロ」の書いた文章や「一級品」の出現について、子供や初心者が接しても分かるように補助を行う。
そうすることで、個人はただ流れを下っている人たちに向けて、旗をふることが出来ると思う。Wikipediaやアマゾンのコメント欄のように、システムとして整備されていない場でも、ひとまず旗をあげて、ふることは可能だ。眼にとめてくれた人の反応は期待はしない。だが、希望は持ち続ける。
そういう理由で、何の因果かここに来て下さった人たちには、今回はこう申し上げよう。

①本屋さんに行って、「文学界」2009年5月号を買いましょう。950円也。あなたが余程の映画好きでない限り、立ち読みでは理解出来ません。何度も繰り返し読むことになりますし、将来への投資と思って下さい。下らないビジネス本なんかよりよっぽど人生を豊かにします。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/
イーストウッドの過去の作品を見ましょう。『許されざる者』以降が特に重要です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%B1%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%96%E3%82%8B%E8%80%85_(1992%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)
③「文学界」を読み直しましょう。発見があるはずです。
④見た作品の感想と、③の差を確認しましょう。もちろん③が絶対正しいわけではないですが、少なくともあなたの感想よりは豊かだと思います。プロですから当然です。
⑤来るべき『グラン・トリノ』の公開に向けて、妄想しましょう。ちなみに、イーストウッドはこの作品をもって、役者を引退するようです。物凄く重たいことです。
⑥4/25以降、連休中に『グラン・トリノ』を観に行きましょう。
⑦ ②→③→④→⑥を繰り返す!!! これで映画レベルが少しだけ上がるはず。映画に限らず作品をより豊かに味わうきっかけになります。
とにかく今年のベストワン候補ですから、絶対観て下さい!!!

以上、バカみたいですが出来ることをしました。別に笑われてもいいです。直に僕に会っても同じことを話すでしょうし。ある種のスタンダードな趣味とスタンダードな手法しか持っていません。そういう人間なので、そういうモノが表に出てきます。はい。
早いとこ小説も書き上げます。そうすれば、少しはここのアクセスも増えるでせう。それでよろし!