NEIL YOUNG & CRAZY HORSE - BIG TIME - TORONTO - 10/31/96

http://www.youtube.com/watch?v=URWxX-7d63A&feature=related
http://www.azlyrics.com/lyrics/neilyoung/bigtime.html



痛みは後ろに置いて  つまらない奴は放っておいて  魔法のクスリを飲もうか
old black carに乗って  遠くへ行こうか  太陽が照りつける西海岸へ
州から州へと走り抜けて  ゴールデンゲートにぶつかるまで  俺の足が海にひたひたと浸かるまで


まだ生きてるぜ  俺たちが見てた夢のなかで  俺にはまだ終わってないから


昼のあいだに歩いてゴールデンゲートブリッジへ出ようか  明るいうちに探してみようか
波が立つのを見た  昔はデカイ船が通ったんだ 
traveller's glassを借りて  焦点をあわせると 
海の小さな子供が  夕暮れの汐の引き潮にかき消されそうだけど  その子が必死に手を振って俺を呼ぶんだ


まだ生きてるぜ 俺たちが見てた夢のなかで 俺にはまだ終わってないから


friend of mine/仲間のことを話そうか  a gold mine/人生を豊かにするもののことを
どんな鉱山にも眠っていない  まぶしかった日々のことを 
enemy/敵のことを話そうか  Inside of me/俺の中の宿敵のことを  未熟な若さのことを
you and me/お前と俺のことを  eternity/永遠のことを   the big timeのことを


(訳:退職金すっからかんの午年男)


※JIM JARMUSCH監督の"YEAR OF THE HORSE"では、ニール・ヤングの一番の親友であったダニー・ウィットンの死について、CRAZY HORSEの面々が話をした後にこの曲が流れる。
ダニーは、ラルフ・モリーナ(ドラム)、ビリー・タルボット(ベース)とともに、ニールがロケッツからCRAZY HORSEに引き抜いたギタリストだ。しかし、彼はドラッグに溺れてしまい、次第にギターを弾く事すらままならなくなり、バンドのメンバーから外される。

ニール・ヤングは、立ち直るチャンスを与えようと彼の絶頂期の一枚となる"Harvest"のレコーディングにダニーを誘う。しかし、参加直後、ダニーはドラッグのオーバードーズで1972年、この世を去る。享年29歳。

ニール・ヤング Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0
NEIL YOUG&CRAZY HORSEのライブでは、ステージに何本もの巨大なロウソクが立てられ、彼らはそれらとともに、静かに火を灯し続ける。
作中では、撮影当時のライブ映像に、サイケデリックなアニメーションによる鉄道列車のコラージュ映像が差し込まれる。

そして、いうまでもなく、映画の始まりは、列車の到着を収めたフィルムであり、西部劇においては、人々は馬に乗るか、列車に乗るかして町から町へと移ってゆくのである。


ちなみに、Sさんの送別会で、"YEAR OF THE HORSE"のオープニング映像と音を流し、閉会後に同作収録の映像と音で"BIG TIME"を流したのでした・・・。
気付いてくれないことは分かってたけど、やっぱり誰も気付かなかったし、その意味なんて伝わりもしなかった。ここがアメリカだったらそんな心配しなくてもよかったのに、と思った。

そのあと1ヶ月もしない間に、僕は自分のいろいろなものを壊して休職をせざるを得なくなった。寒さの凍てつく冬だった。朝なのか夜なのかさえ分からないうす明かりの部屋のなかで悪夢を見たようにびっしょり汗をかいて起きたあと、時々そのことを思い出して、つらくてまたざざっと震えた。

でも、僕はもう、大丈夫だと思う。
Beach Boysに"God Only Knows"という曲があるけれど、そこに僕も混ぜてくれないか、そう願わずにはいられない毎日が早く終わるよう、突き進むだけだ。江ノ島のてっぺんから見たら、空も海もとても晴れ晴れしていた。風が強く吹いた。そして、子供たちと一緒に海岸の水際を、ジーンズをまくり上げて裸足になって、端から端へと歩いた。

まだ北鎌倉には行っていないけれど、いつの間にか、また春が来たんだな、と知った。
穏やかで清潔な、とてもいい一日にあらわれた。
風とともに、波とともに、山の木陰を照らす日差しとともに、少しヒリヒリする潮味の太陽とともに
ロックンロールとともに、回り続けるレコードの溝とともに、絞り出される轟音とともに、スクリーンのなかの光と音とともに、回転するフィルムとともに、過去とともに、現在とともに 明日とともに。

昨年行ったサンフランシスコも、今年もまた行った江ノ島も、潮風が気持ちいい町だ。
潮風のなかを何時間も歩いてまわった。そうして、忘れないでいたことを、分かっていたことを、ふと思い出した。

少し寝て、風呂に入ったら、体から汐の香りが、さっ、と立ちのぼった。
気がつかないでいた僕に教えてくれて、みんな一緒にそばまで来てくれて、ありがとう。