「若い世代を教育してオーディオ機器で聴く良さを知ってほしい」/アラン・ラウズ ガイ・マッセイ/Sound & Recording 2009.10

EMIジャパンのマスタリング・エンジニア渡辺昭人が行ったインタビューは、今回のアラン・ラウズ、ガイ・マッセイへのものとしては、ベストではないだろうか。機材だとか、ビートルスだとかに関係なく、音楽ファンは必見の内容だと思う。


ビートルズは今回が初のリマスターで、恐らく世界で最も有名なバック・カタログになるでしょうから、僕たちのやったことはすべて、隅から隅まで検証されることになるでしょう。大勢の人に喜んでもらえればと思いますが、喜ばない人もきっと出てくるでしょうね。でも、僕たちはベストを尽くしました。オリジナルの1/4インチ・マスター本来のダイナミクスを維持することができたと思いますよ。


こうした志で行った今回のプロジェクトは、「修復」という仕事のロールモデルの一つになり得るのではないかとさえ思わせる。非常にいい特集だった。

それから、Jim O'Rourkeの8年振りの新譜『The Visitor』が本日リリースされる。

Visitor

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「わざとPro Tools LEで全部やったんです。"アマチュアみたいなシステムでもできるよ"って」というリード文で始まる彼のインタビューも興味深かった。

Jimが以前から主張している、ミュージシャン「ボケ」を回避して、「多くの人はアウトボードを使い過ぎると思います。昔の音楽には素晴らしいものがたくさんありますが、かつてアウトボード機材はあまり無かった。しかし、それでもすごい音ができていた。あのころの音を私は信じています」という姿勢で制作された作品のようだ。

そんな彼が使う数少ない機材のひとつが、Steve Albiniと同じマイクプリだという。
Steve Albinihttp://ja.wikipedia.org/wiki/スティーヴ・アルビニ)は、Jimmy Pageのエンジニアリングを参考にしている。JimはZEPが好きではないらしいので、余計に面白い。

ただ、Steve Albiniは、音をダイレクトに録音することを追求し続け、かつ重要なロック・アルバムを制作し、多くのフォロアーを生んで来たので、ひとつの指針なんだろうな。先月のサンレコにも彼が録音を担当したバンドのスタジオ写真があったけど、演奏者のはるか後方にマイクを置いたりしていて、勉強になった。あと、やはりスタジオの鳴りや機材の出音は、素晴らしいそうだ。基本の音を良くする、というのは当たり前なのだが、とても難しいことだ。

ちなみに、マイクプリはこれ。

sytek-MPX4Aii
http://www.sytek-audio-systems.com/products/preamps/mpx4/
http://2ndstaff.jugem.jp/?eid=151