未来の巨匠たち 瀬田なつき

午前中に履歴書を何とか書き上げて郵送。今度こそ!それにしても、某掲示板を見ているとこの業種は高学歴で一流企業に勤めていても、容赦なく書類で落とされるようだ。昨夜、これまで来たスカウトの中でも一番響いた仕事があり、別業種だが受けてみようかと思った。諦めたくはないが、厳しいなぁ。長期プランでやるかなぁ。

とにかく、横浜へ。『未来の巨匠たち』の初日だ。
http://www.mirai-kyosho.kitanaka-school.net/index.html
念のため電話で確認すると、チケットは充分余裕があるとのことだったので、黄金町の手前の日ノ出町で降りて、とんねるずがテレビで寄った汚なシュランの中華屋へ。場外馬券売り場のそばで、おじさんとテレビで知った若者とで混んでいた。チャーメンは、まあまあうまかった。今度は近所の普通に評判の洋食屋でハンバーグを食べよう。

時間ギリギリで会場に着くと、チケット売り場に行列が。圧倒的に2、30代の男が多い。映画館でよく見る顔もちらほら。場内は立ち見、補助椅子が出る盛況振り。やっぱりなぁ。瀬田なつきは人気だ。明日も早めに行った方がいいのか。

5作品を通して見ると、作品を重ねるごとに上手くなっている。見るのは3度目の『あとのまつり』は、やはり要所要所で感動する。5作品の中でも郡を抜いている。
そもそも画質が圧倒的に良い。カメラの性能だけではないと思うのだが。照明が上達したのだろうか。

トークショーは、いろいろと面白い話題があった。個人的には、梅本先生がわざわざ断りを入れつつしつこく質問を重ねた、作品を制作し、公開するプロセスの話に思うところがあった。背の高さも人柄も映画のツボも似ている井口監督、瀬田監督は、才能があり、運が良く、周囲の人材にも恵まれ、キャリアを伸ばすことに成功している。それぞれの作品制作の過程は、偶然や幸運の影響が大きいように聞こえた。8mmの『犬猫』を撮った後、35mmの『犬猫』を完成させるまでに「もの凄い苦労」をしたにも関わらず、その後は仕事の依頼が来るため(?)営業をしたことがない井口監督。芸大で製作する作品は、商業ベースの映画とは作風も公開の形態も違うと言う瀬田監督。だがそれでは、安定したキャリアや、自分の思い通りの作品を撮ることが難しくなることを確認する梅本先生。

壇上の二人の映画監督の返答を聞きながら、僕は頭の中では別の二人の監督の言葉を反芻していた。一人は、先日講演を聞いた中年の女性監督だ。その方は90年代初頭に商業映画を一本撮った後は、劇映画を撮る事ができていない。企画の持ち込みも行っているが、どこかで必ず中止になってしまうとのことだった。男性監督の企画会議の様子と比べると、女性であることハンディも明らかに作用していると感じるそうだ。作品が撮れない打開策として、予算や内容に比較的自由がきくドキュメンタリーを撮っているものの、やはり本心は商業ベースの劇映画が撮りたいと語っていた。

もう一人は、昨年末の『TOCHIKA』の舞台挨拶での松村監督だ。
http://d.hatena.ne.jp/rockushi55/20091027#1256627555
作品を撮るだけで終わらずに、興行まで担うことが、「映画を上映する」ことだという決意がなければ、その言葉通りに松村監督はあの場に立つことができなかっただろう。

インディーズレーベルを運営するように、自分の映画をプロデュースして、資金集めから上映までを担わなければ、才能ある監督ですらキャリアを築くことができないという現実もまたあるのだ。

梅本先生も話していたように、僕も井口監督、そして瀬田監督の新作を年1本は見たい。
井口監督は、今年新作を撮るそうだが、年内に公開されるのだろうか。親身なプロデューサーが各映画会社にいればいいのだが、うんざりするような邦画を量産する映画会社にそれを望むのは、厳しいのではないかとも思った。

時間が押して質問時間がなかったのだが、瀬田監督に作品制作への働きかけの他に聞いてみたかったことがあった。

ロケハンが趣味で、黒沢監督に師事したということだが、風景から映画を立ち上げるというアプローチに関心はあるのだろうか。つまり、監督が自らの内から発想する内容に加えて、風景や外部が持つ要素を大きく取り入れ、両者の融合を試みるということだが。

また、飛行機や拳銃が頻出するが、東京の風景から離れたり、拳銃をしっかりと発射させるジャンルものというか、刑事物というか、そうした映画を撮るつもりはあるのかということをお聞きしたかった。

ともあれ、お疲れさまでした。一刻も早い新作を期待しております。

明日も遅れないように行こう。


余談だが、スタッフリストに福本明日香という名前があったが、今度の桃まつりの監督のようだ。
http://d.hatena.ne.jp/momomatsuri/20100118/1263832325
N本さんや編集長と学部での在学期間が重なっているようだが、知り合いの人だろうか。
聞いてみようかなぁ。