今週と来週で気になること。ネットと映画、あるいは振る舞いについて。その1

ネコと遊びながら何となくつけたTVで、ちょっと気になってた渋谷の肉屋横丁の特集をしていた。週2度は肉を食べない日を作ろうと思っても、破ってしまうことが多いのだが、反動なのか、こういう特集があると見入ってしまう。それにしてもこういうほぼ企業広告で企画する番組が本当に増えた。視聴者離れが加速するだけだと思うのだが。

それで、来週、サイバーエージェントの特集をするらしい。
シルシルミシル 11/10(水)23:15〜
http://www.tv-asahi.co.jp/shirushiru/index.html

入社式がチャラいことが内定者のアメブロ経由で発覚して、ますますブラック化のイメージが進んでしまったことへの対策なのだろうか。
アメブロで収益を上げる秘訣とは〜、といった予告をしていたので、黒字になったのかと思って調べたら、こんな記事があった。

□広告代理業からメディア業へ「5年赤字」のなかで粘り勝ち 藤田晋サイバーエージェント社長に聞く
http://column.onbiz.yahoo.co.jp/ny?c=bi_l&a=017-1267514899

何で日本のネット企業は、経営者はTV局を買収しようとしたり、芸能人とやたらと絡んだり(結婚したり、ブログを書かせたり等)、最初は上手く行ってたのに性善説に頼り過ぎた結果(おっと、割と納得のいく指摘とはいえここで書くのは・・・)云々で、会社自体は、短過ぎる在籍期間にも顕著なようにブラック企業という、従来の、つまり普通の企業のように営利を追求しているだけで、googlefacebookのように社会や生活にイノベーションを起こしたり、ブランドイメージが良かったり、賛否はあれ、かっこいい存在ではないのか、と思っていたのだが、サイバーエージェントについては腑に落ちた。

藤田
私は将来展望をあまり描かないようにしているんですよ。柔軟に流行ったものにどんどん飛びついていって、出来上がった最終形がよい企業の形になっていればいい。いまムキになって取り組んでいるのが「アメーバなう」というツイッターそっくりのサービス(笑)。

つまり、企業経営ありきの経営方針ということか。

以前読んだ『グーグル秘録』とは、真逆だ。(そもそもサイバーエージェント等の企業とgoogleを比べること自体がナンセンスなのかも知れないが。)

グーグル秘録

グーグル秘録

googleの経営陣や幹部、古参社員たちのインタビューを多数収録した本書を読むと、革新的であり、かつ(プライバシーや著作権など周囲の無理解など気にしないなど)非難される要因の多くは、彼らの哲学に見いだせることが分かる。あえてひとつ挙げるとすれば、より良いモノがあるのだから、それを使うべきだし、普及させて、現状を変えるべきだ、そして、周囲もそれを取り入れるべきだ、という思想だ。会社は、そのための手段として、存在させている。


そこで、ふと『ソーシャル・ネットワーク』の予告編のことを思い出した。facebookの創業者、マーク・ザッカーバーグを中心とした(あくまで)フィクションだ。
http://www.socialnetwork-movie.jp/

東京国際映画祭で先行上映があり、4度も上映されたものの、評論家やシネフィルからの評判はあまり聞こえてこない。
(デヴィット・フィンチャーだし、『ゾディアック』がちょっと良かっただけだし、そもそもfacebook自体使ったことないし、おまけに『刑事ベラミー』、『エッセンシャル・キリング』、『ハンズ・アップ』、『ゲスト』・・・と優先すべき注目作が多かったし。ということで見逃した人が多かったのだろうか。)

http://movies.nytimes.com/2010/09/24/movies/24nyffsocial.html
流し読みしただけど、ジェシー・アイゼンバーグは、『ゾンビランド』に続いて、また(ユダヤ系の)変人のオタクを演じるようだ。今回は天才というのも加わっているが。
ネット企業の創業者は、そういう人が多いようだけど。周囲の人など構わずに、自分のやりたいことや哲学を貫いた結果、「システム」に穴を開けるような変革をする「普通ではない」人。

予告編が、なぜRadioheadの『creep』の「コーラス」バージョンで、なぜモザイクで描かれたマーク・ザッカーバーグがシンボリックに出てくるのか。
単純に、女に振られた怒りを創作に結び付けたり、"I wish I was special"と言っておきながら、その創作が成功して"special"な存在になったりするところが、曲(バンド)とサイトの(多分欧米の若者には)ポピュラーな親和性があり、またそれをイメージしやすいからなのだと思っていた。

Radiohead Creep Lyrics
http://www.sing365.com/music/lyric.nsf/creep-lyrics-radiohead/e9b013a7caf5eec148256866000da819

しかし、改めて歌詞を見直してみると、Youは、マークの、そして「美しい」プログラミングの構築物であるfacebookの、あるいはネット(そしてそのユーザー)の説明にも成り得るので、この曲を選曲したのではないかと思えてくる。つまり、angel, float like a feather,In a beautiful world,skin。プログラミングから資金まで援助してくれて、羽のように浮かんでいて、美しい世界の、文字通りのスキン(標示されるデータの差異はあれ、構成は同じ)。
I want you to notice
when I'm not around
You're so fuckin' special

俺がそばにいなくても、お前が特別な(あるいは「ユニーク」な)存在であることは、揺るがない。

その歌を、「コロス」によって導入する、ということなのだろうか。見てのお楽しみだけど。